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12月
おじいちゃんの宝物の小さなクリスマスタウン

「おじいちゃん!早くみせてみせて!」
「わかったわかった、そう慌てない」

可愛い孫が私のエプロンを引っ張る。
今日は孫に、クリスマスタウンのジオラマをお披露目する日だ。

ときめきを隠せない孫の小さな背中が、あの日の自分に重なる。  

その昔、私が孫と同じ歳の頃…。
大好きだった祖父は、クリスマスに手作りの小さなジオラマを見せてくれた。
どこか遠くの国の、それはそれは綺麗なクリスマスタウン。
その街は、まるで魔法のように動き、輝き、私の心を踊らせた。

「うわぁ~綺麗!これ全部おじいちゃんが作ったの?」
「そうだよ。なかなかのもんだろう?」
「うん!すごいや!…ねぇおじいちゃん、僕にも作れるかな?」
「もちろんさ」

その日から私はジオラマ作りに没頭した。
いつか私も、祖父のように素晴らしい街を作りたい。その一心で。

 

…さて、思い出話はこのぐらいにしよう。
急かすこの子を、これ以上待たせてはいけないからね。

「さぁ行くよ、3・2・1…」

スイッチを押した、その瞬間___

 

「うわぁ~!すごいすごい!」

美しい光で、街が目覚める。
建物の明かりが灯り、人形が動き出し、黄金に輝く蒸気機関車が走る。
ジオラマに照らされた孫の瞳は、キラキラと輝いていた。

「おじいちゃんすごい!こんなの見たことない!」
「はっはっは!そりゃあよかった!でもね、最後の仕上げがまだなんだよ」
「仕上げ?」

私は特別にこしらえたそれを、そっと頭上に掲げる。

「そうさ。みんなが幸せになる魔法の言葉……クリスマスの挨拶を、町のみんなにしてごらん」

孫は私の言葉に首を傾げながら、うんうんと悩む。
そうして思いついたように顔を上げ、今日一番の笑顔で笑った。

「あっ!わかった!……メリークリスマス!!」

 

しんしんと、雪が降り始める。

「……わぁ!雪だー!」

やさしく、やさしく。ジオラマと孫を包むように降る雪。

孫は楽しそうにはしゃいだあと、私の目をじっと見つめて言った。

「ねぇおじいちゃん!私も、おじいちゃんみたいに作れるかな?」
「もちろんさ」

あの日私が感じたワクワクは、きっとこの子にも届いている。

「メリークリスマス」